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旅行犬 Reisehund
2002年
07' 20''、カラー、ステレオ、言語:日本語
コンセプト・編集・グラフィック:GUP-py
音楽:doerbaum

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作品解説

旅行犬は、目には見えないけれど、どこの家にも住んでいます。日常生活の中で人生の目的を見失った人に、旅行に行きたいという気を起こさせるのが、旅行犬の任務です。その旅行とは、自己再認識の旅です。旅行犬は人知れずこっそり飼い主の旅行カバンや外套のポケットなどに忍び込んで同行します。旅行先では旅行犬は飼い主のもとから走り去り、飼い主は旅行犬を探して歩きまわらなければなりません。探しているうちに、飼い主の目には自分が探して歩く軌跡が見えてきます。飼い主は自分に問いかけます。本当に人生の中で探しているものは何なのかと。その答を知るのは、ただ旅行犬のみです。

旅行犬の存在を視覚的に示唆する唯一のものは、カバンや壁や室内調度品といった、様々なモノの表面にある、旅行犬の空気穴です。空気穴は中を黒く塗った円として表現され、ビデオ、ドローイング、インスタレーションにて旅行犬の存在を示す手がかりとして機能しています。円という極めて単純な図形によって私たちの想像力はかきたてられ、旅行犬の命を呼び起こします。
ビデオテキスト

第一章:旅行の前の旅行犬
旅行前には持っていくもののメモを作るものだ。いくら持ちものがたくさんあっても、旅行犬を忘れるべからず。旅行犬を忘れると旅行が旅行でなくなってしまう。旅行犬にはスーツケースでもハンドバックでもよい。何なら外套のポケットに入れてもよい。コンパクトな犬種だ。
旅行前にスタンバイする旅行犬たち。空気穴のあいた箱一つ一つに犬が入っている。旅をする人は誰でも旅行犬を連れている。一人ずつ一匹。列車には旅行犬がひしめいている。

第二章:旅行犬を連れて目的のない旅に出よう
観光旅行でも仕事の旅でも、ちょっといつもと違う時間の配分ができればいい。一番いいのは一人旅。集団行動していると犬にかまっている時間がないから。
私だけの犬はどんな時もずっと付き添ってくれる。

第三章:旅行犬を旅先で解放する
海岸で犬の鎖をはずす。しめたとばかり駆け去る犬。犬はどこに行ったのだろう。私は犬に置いてけぼりにされた? そんなことはありえないと思っていたのに。
私は行方不明になった犬を探してさまよい歩く。
走り回れ、旅行犬。日頃のうっぷんを晴らすがごとく。そこここに、砂を蹴散らして狂ったように駆けまわる犬。
たくさんの足跡に入り混じってどこにあるか知れない、旅行犬の足跡。
歩いても、歩いても、犬の跡は見えてこない。見えるのは私の探す軌跡。私は犬を探す旅にでる。
私は犬を探すために旅をしている。探しているうちに犬が私を見つけてくれることを願って。見つけようとしても犬は見つからない。旅行犬は目には見えないから、心で見つけるしかないのだ。
目に見えないから、犬をビデオに撮ることはできない。私はただ、私が探した跡を撮る。
犬を探してみんなで歩け歩け
目的のない旅の目的は、何かを見つけること。答のない問に対する答を求めてやみくもに歩き回る。
後ろ向きに歩いてみるか、そうすれば犬が見えるかもしれない。
用途に応じて使い分けよう、あなただけの犬。? 旅行犬編 ?
そう、旅行犬にも用途がある。旅行犬とは旅に出て自由な心を取り戻すための補助手段。飼い主は探したいものが何なのか、自分に問いかける。

第四章:帰宅後の旅行犬
家に帰ってきた。
カバンをあけた途端、犬は家の一部となり、あたかも存在しないかのようだ。そして次の旅行に行くチャンスをうかがっている。
時間が経つと、旅行犬は飼い主の心にうったえかける。「行こうよ行こう、探しに行こう!」

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