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空間の動物 Tier - das in unseren Herzen
2000年
11' 08''、カラー、ステレオ、言語:ドイツ語
コンセプト・編集・グラフィック:GUP-py

作品解説
2人の人物による、空間認識をテーマとした会話によりストーリーは進行する。自己と空間との関係を心理的に捉え、ある空間にどんな動物を連想するかによって、その人の空間認識が形になる。ちょっとした気分の移り変わりによって空間すなわち動物の姿が次々に変化していく。
ビデオテキスト
「ようこそここへ。ここにはティアがいるんです
」ここって、この部屋の中に? 私には何も見えないし聞こえない
「ようく注意して。彼らはふいに、ほんのすぐ近くにまでやって来るから。……そうら、もう来た
」冗談はよして下さい。私とあなたの間の直径__メーターの円内にも外にも何も……。で、それはどんなティアなんです?
「とてもかわいいの。何ていうのか名前は知らない。私たちはただ『ティア』って呼んでるんです。小さくてすばしこくて、森と川に住んでいる。メルヘンにもよく登上したけど、最近人はこのティアについてあまり話さなくなりました。
」走ったり泳いだりするティア?
木に登って木の洞に住んだり、木の___を食べたりするティアかしら。ふさふさした長いしっぽを持っている
「四肢と胴体の間にひ膜を持っていて、グライダーのように宙に浮くんです
」ああ、翼を持っている夜行性のティアね。 昼間は洞窟の中に天井から逆さ吊りになって眠り、夜になると都会の上空を群をなして舞う
「年によってあんまり増えすぎると、時として突然夜になったかと思うぐらいに辺りを真っ暗に覆いつくす。昔はこれで農作物がやられて一国が滅んだり
」彼らも増えすぎると自滅行為をして自然とのバランスをとっているんじゃないですか。何か月も増え続けた挙句に群をなしてある一定の方向へと走る。
その先には海があるだけ。
でも彼らは躊躇せずに崖っぷちから次々に身を投げて集団自殺をしてしまうんです。最後の一匹が水のあぶくになって消えてしまうまで、その行為は止まらない
「かわいそうなものたち。グループ毎に滅ぼしあうティアもいる。他の地域に住むティアの群にダメージを与え、自分たちの群の利益とする。利益は群内のティアに平等に分配されるのではなく頭に吸収される。どの群も頭を持っていて、頭どうしの争いです
」個としては自然の中で生きてゆけず、役割分担をして共同体としての巨大な個としてのみ生きてゆけるのですね。群全体を養うために一生働き続けるものたち、敵が来ると群を守り、さもなくば自分から外へ飛びでていって他の群を攻撃するものたち、群全体が存在するために存在する群の中心的存在であるもの、ただひたすら子を産み続けるもの……
「山を崩しては巣を作り、規則正しく配列されたツェレ(Zelle/蜜蜂の巣, 小さな部屋, 独房)の中で一生____する。生産しては破壊し、また生産し……。生産そのものが破壊行為ともいえる
」そんな嫌らしい習性のティアがここに?
「いいえ。ここのはもっと控えめで、なかなか人前に姿を現そうとしないんです。本当はもうすぐそばまで来ているんだけど、この空間の別の層に身を潜めています。空間のポケットのようなところに
」言っていることがよく分かりません。私たちがいる空間は一つでしょう
「同じ場所に複数の空間があることはあなたもご存じでしょう。例えばあなたが服を上から順に一枚ずつ脱いでいくと、上着を着たあなたと下着だけのあなたと裸のあなたは、同じ場所に立っているけど、それぞれ3通りの見え方をする。この空間を剥がすとその下には場所を変えずにその下にある別の空間が現われるのと、同じことです
」そんな馬鹿な
「ではためしにこの下の層の空間に行ってみますか
」え、それはちょっと
「そらご覧なさい。ある一つの空間から別の空間へ移るのには特別の集中力とエネルギーが要るのです。だからティアも裏空間でじっと様子をうかがっている
」でもどうしてティアがここに居ることがあなたには分かるのですか。私には見えないのに
「この空間は私の感覚の延長上にあるからです。私は私の身体しかコントロールできなくても、この空間の大きさいっぱいにまで自分の意識を拡大させることはできる。空間の要素を変えることはできないけれど。あなただって心臓を体内で一回転させたり髪を急に10センチ伸ばしてみたりといった芸当はできないでしょうが。私にできることは、空間を感じとることです
」で、ティアは今何を考えているんです?
「そこまでは私には分からない。ティアの内部に起こっていることは私の管轄外だから。でもね、ティアの外部に起こっていることだって実はよく分からないのです。ティアはどうやら変身能力を持っているらしく、いろんな形に変わるの。どんなに変わってもティアだという特徴だけは残して
」ああ、今ちらっと見えました。ほんと、かわいいですね。長い平たい尾を持って、アヒルのような愛敬のあるくちばしと、水掻きがついてる後ろ足と
「私には別の姿が見えます。短い銀色の毛皮に被われたヘビのようにしなやかな胴体、顔はネズミのようでかわいいけど白い鋭い牙を持っている。
どれが本当の姿なのか、誰にも分からないのです。
ティアはここだけでなく、どこにでもいるんです。私も初め、その存在に気をとめなかった。この空間を知るにつれて、だんだんティアが見えてきたんです。あなたの空間にもきっといるはずです。いや、どの空間にでも、人の行くところにティアは付いてゆきます。
ドアを開けてあなたを送り出してしまっても、あなたにティアが付いて出ていくのではないかなんて心配はしません。あれはここでしか生きられない
」そう言われてみると、私もこれまでにちょくちょく何か見かけたように思います。さほど気にもとめず、いつもすぐに忘れてしまっていたけれど。影のように、私の記憶の中でぼんやりとした形をとっている。思い出そうとして追いかけてゆくと、それは茂の中に逃げ込んでしまう。かと思うと立ちどまってこっちをじっと見つめていたり。見ているうちに、その周りにある風景、当時の想い出が一緒になって見えてくる
「それがあなたのティアなのね。時々立ちどまって待っていると、ティアはきっとあなたのもとへやってくる。いつか、あなたのティアの話、聞いてみたいわ
」ええ、ぜひ。そうしたら二人のティアを一緒に遊ばせてみましょうか

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