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メラリウムへのいざない Nimm mich mit ins Mellarium
2003年 07' 52''、カラー、ステレオ、言語:日本語 コンセプト・編集・グラフィック:GUP-py 音楽:doerbaum 映像サンプル > ムービーを再生する 作品解説 「メラリウム」と「はちみつ生物」はGUP-pyの創作である。メラリウムでは蜂蜜に満たされた水槽の中に泳ぐはちみつ生物(文字アニメーション)を鑑賞することができる。メラリウムの水槽は実際の水槽ではなく、蜂蜜色のモニターで表現される。 はちみつ生物の名前は、蜂蜜の抽象的な色や形から連想して付けられた。例えば「ちかちか」というはちみつ生物は、「ちかちか」という文字でできており、文字自体も文字の背景もちかちか点滅する。「くるくる」という文字からなる二体のはちみつ生物「くるくる」は、互いを軸にくるくる回転し、背景の蜂蜜も回転する。 水族館の生き物が生存環境を模した空間に展示されているように、メラリウムでははちみつ生物の外観や性質に合った空間が設計される。 ビデオテキスト (イントロ) はちみつ生物は見たい人にだけに見える。 でも見たくても見れなかったら? メラリウムに行こう。 そこにははちみつ生物が勢ぞろい。 いろんなはちみつ生物はあなたのお好みのまま。 1 「この雨、やりきれないな。この天気じゃ外で遊んだってしょうがないし、家に閉じ込められていてもつまらないよ。 」あなたと二人っきりでこうしていても、確かにつまらないわね。 「言ったな。じゃ、奥の手だ。メラリウムに行こう。 」そうねぇ、ずいぶん行ってなかったものね。昔はよく行ったものだったけど。 「昔って、おまえ、昔はメラリウムのこと知らなかったじゃないか。 」そんなの、昔の話よ。一時はずいぶんよく通ったのよ。いつの間にかすっかり遠ざかってしまったわ。でも初めてメラリウムに行った時のことはよく覚えてるのよ……。 2 (回想シーン。初めてメラリウムに誘われた時のこと) メラリウム? 何それ? はちみつ生物のいるところ? でも、はちみつ生物って何? 蜂蜜、蜂蜜ってうちにもある、甘くてトローリとした琥珀色の液体? ガラス瓶に入ってる? 瓶の中にはちみつ生物が見えるって言われても……。試したことないわ。 だいたい蜂蜜って食べるものでしょ。 はちみつ生物は蜂蜜の中に住んでいるって? 見る人の見たいように姿を現わし、変化自在。 でも私にははちみつ生物は見えなかったの。 それでだまされたと思ってメラリウムに連れて行ってもらったの。 3 メラリウムの入り口に着きました。 では、さっそく中に入ってみましょう。 人それぞれ個性があるように、はちみつ生物といってもその外観も生活形態も多様です。 メラリウムでは、はちみつ生物が種類別に、それぞれの生活環境に適した空間に展示されています。 私のお気に入りのはちみつ生物たちをいくつかご紹介します。 ここは「しましま」の住む空間。線がいくつも上からおりてきて、しましま模様を作り出します。 生気のない、冷たく暗い世界。氷河期の地層ははちみつ生物をも凍り固め、動けなくしてしまいました。「冷たい蜂蜜」は発見された時の姿のまま、氷の中で保存・展示されています。 「パッ」はパッパと目まぐるしく現れたり消えたりします。単なるエフェクト。人の目をひくのが楽しい、陽気な生き物です。 カラフルな蛍光性のはちみつ生物「ちかちか」は、点滅しながら泳ぎ回ります。鑑賞用はちみつ生物として多くの家庭で飼われているので、みなさんもよくご存じですよね。 「きらきら」は、夜空の星のようにきらきら光り輝きながらゆっくりと舞い落ちます。流れ星のように早く落ちないから、いくらでも願い事を言えそう。 ここには何もいないとお思いでしょう? とんでもない。あなたがご覧になっているのは「かげ」なんです。「かげ」が遠ざかると初めてそれがお分かりになるでしょう。 上昇気流の中に生まれる「もやもや」はゆっくり渦を描きながらもやもやと形を現します。 ぼうっと現れる「ぼうっ」は、現れたかと思うとすぐに姿をぼやかせて消えてしまいます。でも、またすぐに別の「ぼうっ」が現れるので、見失う心配はありません。 「ぞろぞろ」はぞろぞろ他の「ぞろぞろ」のあとに従ってぞろぞろ列を作って行進します。 自分の前の「ぞろぞろ」と全く同じ道順を通る「ぞろぞろ」たち。なぜその道順でないといけないのか、考えることはしません。それが習性というものです。 「ぞろぞろ」と同居している「そろそろ」のほうは一方、単独行動をとります。 慎重に辺りをうかがいながらそろそろ前進します。 時にはひと休みすることも。しばらくすると気を取りなおしてまた前進しはじめます。 みんなして至高のものに向かって昇ってゆく、「あこがれ」。理想の世界の存在を強く信じて、四方八方からたくさんの「あこがれ」は集まってきます。空の彼方に消えた「あこがれ」たちが到達するのは、一体どこなのでしょうか。残っている「あこがれ」にはそれを知る術はありません。それでも後を絶つことなく、次から次へと「あこがれ」は先人に続きます。 一番わくわくするものは、一番強い求心力で全てのものを吸い寄せます。ブラックホールのように、全ての「わくわく」たちは引き寄せられて、彼らには逃れようがありません。 競争好きの「スイスイ」。スイスイ、誰が一番早いか、競争しながら泳いでいます。 「うろうろ」は自分の居場所を探してうろうろしています。うろうろしているうちに、そのうろうろしている場所が「うろうろ」の居場所になっているのですが、それでもうろうろは落ち着けません。そういう性格なのでしょう。 あっちにへこへこ、こっちにへこへこおじぎをする、「へこへこ」。サービス精神旺盛に、メラリウムを見に来る人全てに愛想を振りまきます。 環境に適応した外観を進化させた「ひっそり」と「こっそり」の二匹。 「ひっそり」は、体色と似た色の環境を選んで住みます。じっとしていると目立たないのですが、背景の色が変わると体色が周囲から浮いて見え、敵に発見されやすくなってしまいます。 「こっそり」は一方、場所を選ばずどこにでも隠れ住むことができます。周りの色が変わっても、自分の体色を絶えずそれに合わせて変えることができるからです。でも体色を変えるタイミングがずれると「こっそり」の姿が目立ちます。 波間に揺られる「ゆられて」。ブイのように、同じ場所で上下に動きます。ちょっとやそっとでは動揺しません。いつも自分の場所を守って動こうとしません。マイペースなはちみつ生物。 生きた化石、「くわーっ」。太古の森に住んでいた時そのままの姿を今もとどめています。人間の文明の発展と無縁の世界で進化せず、ただ世代を重ねて現代まで子孫を残してきた彼らも、さすがに生活圏を狭められました。このメラリウムでは数少ない生き残りのうちの一匹をご覧いただけます。この種を保存するにはどうすればいいかという周りの心配をよそに、「くわーっ」はのんきにあくびをしています。 「ゆらゆら」を見ているとなんだか眠たくなります。ぼうっと不鮮明になったかと思うとまた元通り「ゆらゆら」ははっきりと姿を現します。かと思うと、ふっと目を離した隙に上昇して視界から消えてしまいます。 「するっ」はするっとすり抜けて、抜け目がない。何度つかみ損なっても病み付きになって、次こそは、と思うのですが、その度に裏をかかれてしまいます。 「白、押せ」は押したり押されたりを繰り返します。 二匹の「くるくる」がお互いを軸にくるくるまわります。世界は全てこの二匹を中心に回るのです。なんて楽しいのでしょう。「くるくる」は外の世界を知りません。完結された世界に住んでいるからです。 一度落ちても何度でもまた跳ね上がっては落ちる、「何度も跳ね落ちる」。 勢い良く跳ね上がる、「ポーン」。何度はね飛ばされても懲りずにすぐに元の場所に戻って来てまた飛ばされるのを待ちます。 目の前を通り過ぎるのは、「とおりすぎる」です。 生のポジティブなエネルギー、「開花」。 この他にもメラリウムにはたくさんのはちみつ生物の仲間がみなさまのご来館をお待ちしております。 ご家族で、お友達どうしで、カップルで、グループで、またお一人で、ぜひお越しください。 4 「久しぶりのメラリウム、なかなかよかったな。しかし、ここは、いつ行っても昔のままだ。懐かしかったよ。 」そんなことないわ。私の記憶にあったメラリウムとはずいぶん違ってたわ。 メラリウムの住人たちはね、絶えず姿を変えているの。でもそれは私たちのほうが変化しているせいで、そう見えるだけなのよ。今日私たちが見たはちみつ生物たちは、今度来た時にはきっと別人のように見えるわ。 スーパーの蜂蜜の瓶一つ一つにもメラリウムの入り口があるはずなのに、不思議なものね、外に出たとたん、入り口が見つからないの。 「おまえみたいなのがいるからメラリウムがあるんだよ。でも、それはそれでいいんじゃないか。日常では日常のことだけ考えればいい。はちみつ生物に会いたくなればいつでもメラリウムに行けばいいさ。 |
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