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空から、そしてまた空へ Out of the Sky ? Back into the Sky
2010年 09' 04''、カラー, ステレオ, 言語:日本語 コンセプト・編集・グラフィック:GUP-py 音楽:El Fulminador 映像サンプル > ムービーを再生する 作品解説 シリーズ作品「旅行犬」では、人を旅に連れ出すための職業犬「旅行犬」が作品テーマとなる。「旅行犬」とは旅に出たいという私たちの願望の象徴である。旅行犬は目には見えないが、その存在は旅行犬が呼吸するために必要となる空気穴によって暗示される。「旅行犬」のモノクロのグラフィカルな作品にて、空気穴は小さな黒い丸の形で表現されるが、「穴」が実際の穴であることもあれば描かれた穴の絵であることもあり、2次元と3次元の入り混じっただまし絵的な視覚効果をもつ。 本作「空から、そしてまた空へ」では、旅行犬は飛行機で運ばれる旅行者の荷物に身をやつしている。空港には、世界のさまざまな場所から、さまざまな人々に付き添って旅行犬たちが集まって来る。毎日空港では旅行犬たちの大集会が繰りひろげられる。仲間同士のつかの間の楽しみの後、犬たちは飼い主に呼び戻されてふたたび各地に散ってゆく。 旅行カバンの旅行犬は、飼い主の旅行目的や旅行期間などに応じて、その都度新たに構成される。歯磨き粉、保湿クリーム、替えの服、ビニール袋、筆記具……。旅が終わると旅行犬は解体され、構成していたモノたちは日常生活のいつものポジションにつく。旅行犬の皮につつまれて空港で会していたのは、世界中から集まった日常の断片だったのだ。空港に同じ旅行犬たちが勢揃いすることが2度とないように、同じ旅行犬は2度と存在しない。この次に飼い主が空の旅に出る時には別の旅行犬が誕生する。 この空飛ぶ旅行犬について物語るビデオ作品の舞台となるのは、数年来閉鎖されているベルリンのテンペルホーフ空港や、ベルリンの日常空間である。ミニマリスティックな空気穴によって表現される旅行犬の造形は、外国の空からベルリンにやって来て、ベルリンの光景に重なり合ったのち、再びベルリンの空へと消えてゆく。 ビデオテキスト 第1章「到着」 世界の空から旅行犬たちは集まって来る。幾つもの山を、海を、平野を越えて、旅行犬はやって来る。 第2章「空港での大集会」 世界の旅行犬、ここに集結! 第3章「自宅から空港への抜け道」 ねえ、うちにも“空港行き”があるんだって。どこのうちにでもあるんだって。 第4章「離陸」 楽しかった時間は過ぎ去り、旅行犬カバンたちは空港を後にする。もう2度と同じ顔ぶれで会うことはないだろう。 仲間よ、さようなら。犬生は犬それぞれ。 着くなりカバンからは中身が抜かれる。財布、手帳、タオル、歯ブラシ、ボールペン、かさ、常備薬、くつ下 ……。旅のお供をした日用必需品たちは、再びいつものポジションで待機する。次に新しい旅行犬へと生まれ変わるまでは、当分 おとなしくしているだろう。 またいつか、きっと旅行犬は目を覚ます。そして私を旅へと駆り立てる。見知らぬ光景、未知の出来事にあこがれて。 |
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